都議会で、「学歴詐称疑惑」を取り上げた経緯
ミライ会議では、都議会で「学歴詐称疑惑」に触れるか否かについて、大いに議論があった。
従来、政治家の学歴はさほど重要ではないと考えていたので、都知事の学歴疑惑について問題視する予定はなかった。
ところが、ミライ会議を結成後、都議会で都知事に何を質問しても、無視され続けた。都知事は答弁に立たず、東京都の職員が代わりに答えることが続いた。それは、都知事に逆らった者に対する見せしめのようだった。
英語スピーキングテストや神宮外苑再開発などをはじめ、都知事にしか分からない知事自身のことを質問しても知事は無視し、知事のプライベートを知る由の無い都庁職員が知事のことに答弁をする始末であった。これは他の野党に対しても同様であり、都議会の民主主義が崩壊したと感じたので、都知事と議論ができる糸口を探っていた。
小池都知事を信用できるか?
都議会は、都知事と都議会議員の討議の場である。都議会において、都議会議員が、東京都知事の見解を問うことは当たり前のことだと思う。
しかし、都知事は、都政をただす内容、都知事にとって不都合な質問に対して、聞いていないふりをする、無視をするなどの対応に終始して、二元代表制の民主主義を否定しているのが現状だ。
これは都政の異常事態なので、都民一千四百十万人の命を預かる小池都知事が信用できる人か、改めて確認せざるを得ないという考えになった。
そこで、都知事が答弁せざるを得ない質問、つまり都知事にしか分からない小池都知事の学歴等について質問するしかないと判断した。
小池知事しか知り得ない経歴等の質問に、都職員が答弁をする異常
例えば、国会で、野党議員が大臣に統一教会との関係や政治資金を質問したら、大臣本人が答える。
ところが、都議会では、都庁職員がまるで都知事の個人事務所スタッフのように都知事に関する学歴等の質問に代わりに答弁させられている。
東京都の職員には東京都の事務(仕事)に関する質問に答える義務はあるが、都知事自身の経歴については東京都の事務(仕事)ではないので、職員に答弁させること自体が地方公務員法の趣旨を逸脱している。
仮に、都知事の経歴が東京都の事務(仕事)ならば、東京都は都知事の経歴について調査する義務が生じるはずだ。この矛盾に多くの都職員は気づいていると思う。その上で、答弁させられている都職員が気の毒でならないが、この責任はどこにあるのか。
学歴詐称疑惑は、安全保障の問題になりかねない
小島敏郎氏(元東京都特別顧問、元都民ファーストの会事務総長)の手記が、「文芸春秋」(2024年4月)に掲載された。
この手記を読んで感じたことは、もし、都知事の経歴が詐称であり、その事実を知っている者から脅しがあったらどう対処するのか?だった。
都知事に対して、言うことを聞かなければ経歴詐称(疑惑)のカラクリを暴露すると脅されて、都知事の政治姿勢、東京都政のあり方、都民ファーストの会運営に影響があったならば、各所に損害が及ぶことになる。特に都政に関しては、安全保障上の問題にもなる。
また、都知事にしても、何度も疑惑を追及されるより、自分で説明責任を果たせば済むことではないだろうか。
公職選挙法の「虚偽公表罪」との関係

ミライ会議は、小池知事に対して知事にしか答えられない小池百合子さん個人の経歴に関する質問を行った。これに対し都職員が、調査や確認もせず、都知事本人が説明もしていない事項について「様々な場面で」などと、答弁し続けた。
有識者によれば、公職選挙法の虚偽事項公表罪は、「公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴などに関し虚偽の事項を公にするということ」であって、学歴に限られないという。
また、「選挙公報」に記載されていなくても、選挙に際し、大学を卒業していないのに卒業したかのように詐称すること、首席で卒業したかのように詐称すること、アラビア語が堪能ではないのにアラビア語での通訳をしていたと詐称することは、「実際の自分よりも経歴において自己を過大に表現し、より有利な評価を得て投票を集めようとするもの」であって、虚偽事項公表罪の可能性も指摘されている。
都知事は、1976年10月にカイロから日本に一時帰国し、日本の新聞に「カイロ大学卒業、日本人で2番目、それも首席で」と持ち上げられてから、その経歴を「様々な場面で」語ってきた。これらは、自己の経歴が選挙のために広く使われることを十分認識し、より有利な評価を得て投票を集めようとしていると受け取られかねないのではないか。
「都政を立て直す勉強会」を開催
2024年5月23日、ミライ会議は衆議院議員会館で「都政の立て直し勉強会」を開催した。講師は小島敏郎氏、神宮外苑再開発に関してイコモスの勧告に関わった石川幹子東大名誉教授をゲストに迎え、①都知事の学歴詐称疑惑、②神宮外苑再開発について講演した。
学歴詐称疑惑のテーマでは、公益性、虚偽公表罪、大使館Facebook、卒業実態の重要性、コネ入学とコネ卒業、都知事の矛盾、卒業証書の日本語訳等について解説。
神宮外苑再開発は、内苑護持のための資金捻出、東京都主導、三井不動産、イコモス勧告等について解説した。
また、都政の仕組みついても説明し、質疑を交えながらの勉強会となった。
〈参考〉
1.明治神宮外苑神の再開発 “神宮外苑再開発、何が問題か?”
2.「都政の問題点(ダイジェスト版)」ミライ会議channel
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