英語スピーキングテスト、都立高入試への活用に反対した都議は除名処分に

英語スピーキングテストの見直しを求めるビラ プロフィールと実績

国が断念した英語スピーキングテスト、なんと東京都が導入

東京都は、2022年度から都立高入試に英語スピーキングテストを導入すると発表した。ところが、大学教授や塾講師等の専門家によって、このテストには大きな欠陥があると判明した。
元々は、文部科学省が2025年1月以降の大学入学共通テストに英語スピーキングテストの導入を目指していたが、専門家会議で「公平性などに課題が残る」という理由で取りやめになったものである。

英語スピーキングテストは、入試の公平・公正を担保できない

以下に問題点を列挙した。

  1. 都立高入試は5教科500点満点だったが、国語は100点満点のまま、英語は120点満点へと20点増えた。言葉は国の文化そのもの、東京の公教育で日本人の基本である国語より英語が優先された。
  2. 東京都教育委員会がテストの主催者だが、都議会にまともな説明ができない、責任を持たない。
  3. 都教委は、英語スピーキングテストを英語学習の達成度を測るアチーブメントと位置付けるが、その結果を入試に20点満点で加算されるので、事実上の入試であり、都教委の説明は矛盾している。
  4. 学習の達成度を見るアチーブメントとして行うならば、その結果を授業に生かす必要がある。しかし、テストは3年生の11月に行われ、採点結果は受験間際の1月に返ってくる。受験と卒業を控えた時期に受け取って、どうやって中学校での学習指導に反映させて、英語を話す力を養うのか、納得できる説明はない。
  5. 試験当日、欠席しても点数がもらえる。欠席した生徒については、その生徒と学力テストで成績が近い生徒から算出して、点数が付与される。これなら、スピーキングが苦手なら戦略的に欠席する手法が通用する。不公平極まりない。
  6. 都立高の入試は採点を教員が行うが、英語スピーキングテストは何故かフィリピンで採点した。しかも、どのような資格やスキルを持った人が採点するかは明かされない。東京の英語教育はフィリピンで使われる英語が軸になったのか。
  7. 他県から越境して都立高試験を受ける生徒は、英語スピーキングテストを受けていないが、都立高を受験できる。不公平極まりない。
  8. テストを実施するベネッセ(当時)は、採点の方法などについて説明責任を果たしていない。
  9. 試験は、前半組と後半組に別れて同じ建物内で行うが、前半組と後半組が分離されておらず、試験問題の漏えいが簡単にできる環境。
  10. 文部科学省の学習指導要領を逸脱した出題が行われた。本来、中学3年生では教わらない文法が出題された。
  11. 専門家によれば、may have seen(だったかも知れない)という文法は中学校では学習しないという。
  12. 出題ミスに関して都教委はベネッセに丸投げして、試験問題に責任を持って監修していないも同然。入試問題は出題者(実施者)がしっかり点検し最終責任を持つものだ。
  13. ヒアリングに使う機械の不具合が複数発生、試験開始が2時間遅れ、再試験も実施された。
  14. 他の生徒が話す音声が聞こえるなど、他人の回答が聞こえた。カンニングができる環境を放置していた。
  15. 自分の音声データを開示請求したら、ノイズで何を言ってるか聞き取れなかった。ノイズだらけの録音で採点が行われたのか。
  16. 2024年の試験で、実施報告書の改ざんが発覚している。

機能しない教育委員会制度、逃げる都知事

教育委員会制度は政治から独立した組織だが、実際は都知事のコントロール下にある。
なぜなら、教育委員会の長である教育長は都庁官僚であり、委員は非常勤で会議の日だけ来る。事務局である教育庁は東京都の職員(行政職と教員)である。最終的には、都知事が教育長候補を決めて、議会が同意すれば任命される。教育長は都庁官僚が担っており、都知事の影響を受ける。
英語スピーキングテストの導入に当たっては、教育委員が意見を述べた形跡は見つかっておらず、教育委員会の会議は事実上の事後連絡会に成り下がっている。そうでないと言うならば、教育委員はどんな仕事をしているのか?自ら情報を開示して、議会に説明したらどうだろうか?
そして、都知事は公教育ビジョンを示し、正々堂々と議論に応じるべきである。

問題点を指摘したら、除名にする恐怖政治

都民ファーストの会に所属していた都議5人が、英語スピーキングテストの問題点を指摘して反対していた。
しかし、都民ファーストの会は「知事がやりたいんだ」と反対意見を押し切った。都議会本会議でスピーキングテストの入試への導入に反対票を投じたという理由で、都議3人が都民ファーストの会を除名になった。後に、もり愛都議がミライ会議に合流した。
間違ったことを指摘して改めるのが、「都民ファースト」の精神のはずだ。たぶん、小池都知事は既得権益から雁字搦めの状態で、以前のように耳に痛いことでも助言する人物はもういないだろう。だからこそ、都民ファーストの議員がしっかりしなければならないのだが。

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