同じ東京都の中で「築地市場跡地」を売り買い?

築地市場跡地の写真 プロフィールと実績

中央卸売市場の莫大な赤字、きっちり判断を

築地市場跡地は、銀座につながる晴海通り、新大橋通りや新たに開通した環2通り、墨田川に囲まれた19万㎡超の広大な面積があり、都内最後の大規模再開発用地として注目されている。
ところが、東京都のシナリオは、跡地を民間に売却することだった
都財政に問題が無いのに、都心の一等地を手放すのは実にばかげている。だいたい、こういう案件は怪しいと思って間違いない。
築地市場跡地は東京都の所有だが、厳密には市場会計という特別会計に属している。特別会計は、水道や都営地下鉄など特定の料金収入で運営するものは一般会計と切り離して、独立採算で管理している。
しかし、赤字が続く市場会計には資金が足りないので本会計、つまり税金からの補填が必要になってしまった。
そこで、東京都は豊洲新市場の開場にあわせて、築地市場の跡地の価値を5,423億円だと評価して、市場会計から東京都一般会計に売却して、市場の資金不足状態から免れようとした。一般会計や特別会計の違いがあるが、同じ家庭の中でお財布を二つ作ってごまかしているように映ると思う。

土地の評価額の根拠は如何に?説明できない東京都

東京都は築地市場跡地の価格を「収益還元法」により算定した。この方法は広く利用されているが、算定根拠となるデータへの信頼が絶対条件となる。
つまり、やり方次第で「盛れる」算定方法なのだ。
その算定根拠とは、築地市場跡地が将来どれ程収益を上げることができるかの予測だが、平成23年に3,500億円と評価されていたものが、平成29年に4,596億円、平成31年の予算では5,423億円へと高騰を続けた
しかし、東京都は評価の基準となる築地市場跡地での収益予想および評価額高騰の根拠を明瞭に説明できていない。予め当面の豊洲新市場の運営に必要な費用を算定し、その金額に見合うような土地評価をした疑いが濃厚である。市場会計に膿があることは事実。曖昧にしないで、結論を出した方がいい。

行政は責任を取らず、負担は都民へ

土地評価の算定根拠に疑問があっても都民に利益があるならまだしも、市場会計が行き詰まることは明白だった。その場合、行政は失敗を認めないために、新たな理屈追加支出等を繰り返して、問題を曖昧にする。だから、問題は一向に解決しない
こうして財政健全化や特別会計の独立性の矛盾を生み、その問題に気付いた議会を納得させる過程で、既得権益側のご要望を対応策に盛り込まざるを得ず、矛盾が繰り返され、無駄が累積していく。これが都政の闇にもなっている。
政治家は選挙という審判があるが、最も重要な情報を持ち政治家を差配できる都庁官僚は責任を問われない仕組みになっている。これは問題だと思う。

都庁案には、問題解決策が無かった

私が東京都に指摘したことは2点。
①築地市場跡地5,423億円の評価方法(収益還元法)および評価額への疑問
②どれだけ資金注入をしても構造的な問題の解決策が示されておらず東京都の提案を了とできない
都民ファーストの会はこの問題に無関心な都議が多く、説明会の出席率は低くかった。出席しても寝ている都議が散見された。だが、事の重大さに気づいたごく僅かな都議は正論で東京都の提案に異議を唱えた。

与党会派の役目とは何か?

都民ファーストの会には「与党会派は都知事が提案したものを議会で通すのが役目」だと疑わない都議が多数いたと思う。
しかし、都知事提案であろうと、東京の価値を下げる間違った都知事提案は、都知事に修正してもらう必要がある。与党の重要な役目だ。
本件の話し合い過程においては、私が予算案に反対するという噂が各所に流され、国会からも問い合わせがあった。都庁幹部からは「予算案に反対したら政治家としての将来が危ういですよ」等の御進言もあった。

最終的な妥結点

その後、話し会いを重ね、次第に合意点が見いだせる状況になってきた。
最終的には、豊洲市場の会計に都の監査役ではなく、民間の監査を導入することを求めることにした。
民間(監査法人等)にこだわった理由は、いい加減な監査をすれば自身の信用問題に直結するので、都にとって耳に痛い指摘でもするはずだと考えた。
民間監査が導入された後、令和6年5月の東京都中央卸売市場の経営レポートには、経常収支の黒字化が見込めないことや再び資金ショートすると報告がある。
予想通り、5,423億円の資金投入をしても市場会計は収支改善の見込みはない。小池都知事は、問題をあいまいにして先延ばしにせず、正面から解決策を打ち出して欲しいと思う。次に資金ショートになった時は、誰の責任なのか?が問われるだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました