「改革」から「バラマキ」へ変節した

希望の党の街頭演説の写真 プロフィールと実績

都知事の「排除発言」で急落

都知事が国政進出を目指した「希望の党」。いよいよ、旧い国会が新しい国会になるかと期待された。
記者会見の場で、都知事に対して「考え方が合わない人を排除するか?」と質問され、排除すると答えたことを契機に、総選挙の情勢が大きく変化した。新しい枠組みで、新しい考え方を取り入れた政党に期待していたので、残念だった。
都知事の支持率は60%近くあったものが30%後半に急落し、都知事は政治力の源泉であった都民からの圧倒的支持を失った。当然、都民ファーストの会も大打撃を受けた。

知事への不満が噴出

都知事の政治力の源泉であった支持率が急落すれば、溜まっている不満や封じられていた思惑が顕在化してくるものだ。
ついに、既得権益への配慮なしに知事は都政運営ができなくなった。象徴的だったのは、知事を補佐してきた民間の顧問団(企業経営者や大学教授、元官僚など)が解任されたことであった。都政のパワーバランスに変化が生じた瞬間だった。

都知事1人の限界と変節

東京都の職員は16万人、都議会議員は127名だが、都知事はたった1人しかいない。
故に、都政改革を進めるためには、都知事が孤立せず、必要な情報や助言を得られる環境づくりが改革の条件だった。
しかし、「希望の党」の挫折により、都知事を支える体制は崩れ去った。「東京大改革」で仕組みを変える改革を目指すはずだったのに、従来の仕組みはそのままにして、単なる政策のバラマキへと変節する転換点となった。

都知事をとり囲むパワーバランスも変化

それでも与党の都民ファーストの会は、まだ都知事を信じて、都知事の都政運営に不満があっても健気に支え、防波堤になろうとした。
だが、議会運営は実質的に少数与党になり、都民ファーストの会は防戦一方だった。都議会の最前線に配置されるのはいつも同じメンバーで、常に疲れ果てていた。都民ファーストの会で戦わない都議はSNSで高説を唱え、自由な時間があり、成果だけを受け取っていた。
次第に都知事との距離感も変わっていった。
それまでは、多くの都議は都知事と直接話す機会があったが、党代表の許可なしに都知事と会話できない空気がまん延した。都知事の言葉を直接聞く機会は激減し、党代表を介して聞くことが増えた。何が本当かすら分からない状況になった。これが決定的なダメージになったと思う。

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